深夜の部屋で、スマホを片手に自己紹介文を書いては消していました。

「明るい性格です」と打って、消す。本当の僕は明るくないからです。 「休日はアクティブに過ごしています」と打って、また消す。 実際の休日は、家で静かに過ごしていることが多いからです。

マッチングアプリを始めたばかりの頃の、僕の夜の光景でした。

僕は口下手で、人見知りで、あがり症です。 36歳で今の妻と出会い、結婚した今も、人と話すたびに緊張がよぎります。 そんな僕がアプリを使うとき、最初に決めたことが一つありました。

盛らない。等身大の自分で載せる。

無理しない。背伸びしない。自分を大きく見せない。嘘をつかない。 この記事では、なぜ「盛らない」方がうまくいくと僕が思うのか、実体験から書いていきます。

盛ったプロフィールは、会った瞬間に苦しくなる

僕が「盛らない」と決めたのは、立派な信念があったからではありません。 盛った先の自分を想像したら、怖くなったからです。

仮に、実際より社交的な自己紹介を書いたとします。 すると、メッセージの段階から「社交的な僕」を演じることになります。 やりとりが続くほど、実物との差は広がっていく一方です。 会う日が近づくほど、「がっかりされるかも」という予感が育っていく。

あがり症の僕には、それが耐えられそうにありませんでした。 ただでさえ、人と会うだけで緊張します。 その上に「別人を演じる」という仕事まで背負ったら、つぶれるのは目に見えていました。

盛るというのは、未来の自分に借金をすることに似ています。 プロフィールで見せた分だけ、会ったときに返さないといけません。 口下手な僕たちにとって、その返済は重すぎるんです。

等身大なら、会ってからの落差がない

だから僕は、自分を大きく見せる言葉を使わずに書きました。 話すのが得意ではないこと。にぎやかな場より、静かな時間が好きなこと。 隠したくなる部分こそ、正直に載せました。

かっこいい自己紹介ではありません。でも、良いことが二つありました。

一つ目は、会う前の緊張が減ったことです。 見せた自分と実物が同じなら、「ばれる」ものが何もありません。 ただでさえ緊張する初対面に、余計な荷物を持ち込まずに済みます。

二つ目は、会ってからの落差がないことです。 盛った場合、会った瞬間からマイナスの答え合わせが始まります。 等身大なら、実物がそのまま答えです。 むしろ、会って少しでも話が弾めば、その分がプラスに働きます。

僕はこの状態で妻と出会い、結婚しました。 最初に嘘がないと、そのあとの言葉も信じてもらいやすい。 それが、等身大で出会った僕の正直な実感です。

静かな人は、静かなまま書いていい

「でも、正直に書いたら選ばれないのでは」と不安になりますよね。 僕も、書きながら何度も不安になりました。

そこで、考え方を一つ変えました。

プロフィールは、多くの人に好かれるための広告ではない。 合う人に見つけてもらうための、正直な案内板だと考えたんです。

静かな人が「明るくて社交的」と装えば、社交的な人が来ます。 そして会ったあと、お互いに「思っていたのと違う」と疲れてしまう。 静かなまま書けば、静かなあなたに合う人が残ってくれることが多い、と僕は感じています。

出会いの数は、たしかに減るかもしれません。 でも、探しているのは大勢の「いいね」ではなく、一人の合う人のはずです。 等身大の文章は、その選別を最初から引き受けてくれます。

僕が妻と出会えたのも、盛らないプロフィールの先でした。 これは僕の場合の話で、同じようにいく保証はありません。 それでも、無理のない出会い方だったと、今もはっきり思っています。

真面目さと誠実さは、ちゃんと強みになる

口下手な人ほど、「自分にはアピールできるものがない」と思いがちです。 僕もそうでした。面白い話はできない、ノリも良くない、と。

でも、振り返って思います。 あなたの真面目さと誠実さは、それ自体が強みです。

約束の時間を守る。メッセージに丁寧に返す。嘘をつかない。 相手の話を、ちゃんと聞く。 どれも派手ではありません。 でも、真剣に相手を探している人にとって、これほど大事なことはないと僕は思います。

会話が苦手でも、聞く姿勢があれば関係は作れます。このあたりは、こちらで詳しく書きました。

なお、マッチングアプリを使う場合は、安全面だけ確認してください。 18歳以上が対象で、国に「インターネット異性紹介事業」の届出をしているサービスを選ぶのが大前提です。 初めて会うときは昼間の公共の場を選び、お金の話が出たら距離を置いてください。

「良い自分」も、出しすぎなくていい

最後に、少しだけ細かい話をさせてください。

等身大というのは、「悪いところをさらけ出せ」という意味ではありません。 同時に、「良い自分」を前面に出しすぎないことでもあります。

たとえば僕も、頑張れば初対面で少しは明るく振る舞えるでしょう。 でも、それを最初にやると、次も同じテンションを期待されてしまいます。 2回目、3回目と会うたびに、無理が積み上がっていくわけです。

だから僕は、調子の良い日の自分ではなく、普段の自分で会うようにしていました。 普段の自分を受け入れてくれる人となら、長く一緒にいられるからです。 結婚生活は、調子の良い日だけでは続きません。

会話も同じです。 気の利いた話をしようと背伸びするより、普段の自分のまま、相手の話を聞く。 静かな人は、静かなまま好かれていいんです。