デート前日の夜。ベッドに入ってから、スマホで「デート 会話 話題」と検索していませんか。
僕はいつもそうでした。おすすめの話題リストを読み、面白い返しの例を暗記して、当日に備えます。それなのに、当日はほとんど役に立ちませんでした。
緊張で頭が真っ白になり、覚えたはずの話題が出てこないからです。
この記事では、僕がたどり着いた逆の準備を紹介します。頑張って話す準備ではなく、「聞く準備」です。
話す準備は、なぜ裏目に出るのか
まず、僕の失敗談から書かせてください。
昔の僕は、デート前に質問リストを作っていました。趣味、休日の過ごし方、好きな食べ物。10個ほど用意して、頭に入れて出かけます。
結果は、尋問のような時間でした。
質問を順番に消化することに必死で、相手の答えをほとんど聞いていません。「趣味は映画」と言われても、「へえ」と流して次の質問へ。相手は途中から、明らかに疲れた顔をしていました。
話す準備の問題は、意識が「自分」に向くことだと思います。
次に何を言うか。この話題が終わったらどうするか。考えるほど、目の前の相手が見えなくなります。会話が続かない原因は、話題の不足ではなく、ここにあるのかもしれません。
準備するなら「聞く側」の準備を
発想を逆にしてみます。
会話は、話す人と聞く人がいて成立するものです。だったら、聞く側の準備をすればいい。話し下手でも、聞くことはできます。詳しくは聞くだけ恋愛の始め方に書きました。
聞く準備には、暗記が要りません。緊張で頭が真っ白になっても、崩れにくい準備です。
前日にできることを、3つに絞って紹介します。
準備1:相手について知っていることを書き出す
寝る前に5分だけ、相手についてすでに知っていることをメモします。
「カフェが好きと言っていた」「仕事が忙しそうだった」「犬を飼っている」。この程度で十分です。
これは質問リストではありません。順番に聞くためのものではなく、「相手はこういう人だ」と思い出すためのメモです。
当日、相手がカフェの話を始めたとき、「前も言ってたよね」と受け止められます。覚えていてもらえた事実は、それだけで相手にとってうれしいものです。
準備2:相槌を3つだけ決めておく
気の利いた返しは、準備しなくて大丈夫です。代わりに、相槌を3つだけ決めておきます。
- 「え、そうなんですか」(驚き)
- 「それは大変でしたね」(ねぎらい)
- 「それで、どうなったんですか」(続きへの興味)
僕は緊張すると言葉が出にくくなります。それでも、決めておいた相槌だけは出せました。ゼロから言葉を組み立てるのと、用意した引き出しから出すのとでは、負担がまるで違います。
準備3:「沈黙が来てもいい」と先に決めておく
これが一番大事な準備かもしれません。
沈黙は、当日必ず来ます。来るとわかっているものに、毎回驚いて慌てるから苦しいんです。
だから前日に決めておきます。「沈黙が来たら、飲み物を一口飲む」。それだけでいい。沈黙への対応を先に一つ決めておくと、当日の恐怖はかなり小さくなります。
数秒の沈黙は、相手が次の話を考えている時間でもあります。埋めるのは、あなた一人の仕事ではありません。
当日は「一つ深く聞く」だけでいい
準備した3つを持って、当日はたった一つだけ意識します。
相手の話を、一回だけ深く聞くことです。
相手が「最近忙しくて」と言ったら、「何が一番大変なんですか」と一歩だけ踏み込みます。話題を次々に変えるより、一つの話を深く聞いたほうが、会話は自然に続きます。
全部の話題でやる必要はありません。一回できれば上出来です。僕はその一回を積み重ねて、少しずつ会話への恐怖が薄れていきました。
デートは試験ではありません。うまく話せたかではなく、相手と一緒の時間をどう過ごしたか。聞く準備は、そのための準備です。
準備をしても、不安は消えない。それでいい
正直に書いておくと、この3つを準備しても、緊張はなくなりません。
僕は今でも、デートや人と会う約束の前は緊張します。当日の朝に憂鬱になることもあります。準備は、不安を消すための薬ではないんです。
それでも準備する意味はあります。緊張で頭が真っ白になった瞬間に、戻ってこられる場所ができるからです。
話題を暗記していた頃の僕は、忘れたら終わりでした。聞く準備に変えてからは、崩れても「相槌に戻ればいい」と思えるようになりました。この安心感が、結果として緊張そのものを少し軽くしてくれます。
「うまくやる」ためではなく、「崩れたときに戻る」ための準備。不安なまま行っていいんです。準備とは、不安と一緒に出かけるための杖のようなものだと僕は思っています。