デートから帰って、玄関で靴を脱いだ瞬間、どっと疲れが出る。楽しかったはずなのに、ソファに倒れ込んで、しばらく動けない。
聞き役に徹した日ほど、この疲れは重くありませんか。
僕は「聞くこと」で恋愛を始められた人間です。それは聞くだけ恋愛の始め方に書いたとおりです。でも正直に言うと、聞くことで消耗していた時期もありました。
同じ「聞くだけ」なのに、関係が深まっていく人と、すり減っていく人がいます。両方を経験した僕が、その違いを書きます。
疲れていた頃の僕は「我慢」して聞いていた
消耗していた時期の僕を、振り返ってみましょう。
相手の話には、全部うなずいていました。興味のない話も、こちらを傷つける冗談も、深夜まで続く愚痴も。嫌だと思っても顔には出しません。「聞くのをやめたら、嫌われる」と思っていたからです。
お気づきでしょうか。これは聞いているのではなく、耐えているだけです。
聞くことが「相手を知りたい」ではなく、「嫌われたくない」のための行動になっていました。同じ相槌でも、中身がまるで違います。興味から出る「そうなんだ」は充電で、恐怖から出る「そうなんだ」は放電でした。
我慢の聞き役を続けた関係は、結局続きませんでした。限界が来て、ある日突然しんどくなるからです。相手からすれば、急に冷たくなったように見えたはずです。
深まる人と疲れる人を分ける、3つの違い
その後の経験も合わせて、違いは3つに整理できると思っています。
違い1:興味で聞くか、義務で聞くか
深まる人は、相手に興味があって聞いています。疲れる人は、嫌われないためだけに聞いている状態です。
見分け方は簡単です。聞いている最中、心の中に「もっと知りたい」があるか、「早く終わらないかな」があるか。後者が続くなら、それは傾聴ではなく我慢です。
我慢は、相手にも伝わります。うなずきが機械的になり、目が合わなくなり、相手も「話しにくいな」と感じ始めます。義務の聞き役は、実は相手のためにもなっていません。
違い2:自分の「聞けない日」を認めるか
深まる人は、聞けない日があることを認めています。
仕事でくたくたの夜。自分の悩みで頭がいっぱいの日。そういう日に無理して聞いても、上の空になるだけです。
僕は今、聞けない日には「ごめん、今日はちゃんと聞ける頭じゃなくて」と伝えるようにしています。最初は勇気が要りました。でも、言ってみると相手は「じゃあ今度でいいよ」と、あっさり受け止めてくれたんです。
いつでも聞ける人になる必要はありません。聞けるときに、ちゃんと聞く。そのほうが、関係は長持ちします。
違い3:自分の話も、少しはするか
聞くだけ恋愛の「だけ」は、自分を消すという意味ではありません。
聞いてばかりで自分を出さないと、相手はだんだん不安になります。「この人は何を考えているんだろう」「私ばかり話していて、いいのかな」と。実際、僕はこれで「何を考えているかわからない」と言われてきました。
聞かれたら、短くてもいいから答える。うまく言えないなら「うまく言えないんだけど」から始める。自分の中身を少しずつ見せることも、聞き役の仕事のうちだと今は思います。
自分を守る聞き方:時間と場所を区切る
我慢に傾きやすい人へ、僕が効果を感じた工夫も書いておきます。聞く時間を、先に区切っておくことです。
深夜の長電話を毎晩続ければ、誰でもすり減ります。僕も、朝方まで愚痴を聞いて、翌日仕事にならなかったことがあります。だから「今日は0時までね」と先に伝えておく。デートなら、疲れやすい人は最初から2時間程度の予定にしておく。
区切ることは、冷たさではありません。むしろ、限られた時間なら集中して聞けます。だらだら5時間の上の空より、集中した2時間のほうが、相手にとってもうれしいはずです。
聞き役を長く続けるコツは、頑張りすぎないことでした。自分の体力を守ることも、相手を大事にすることの一部です。
「聞いてもらえない関係」は、見直していい
もう一つ、書きにくいことを。
こちらがどれだけ聞いても、あなたの話を一度も聞いてくれない相手はいます。話し始めた途端、話題が相手のことにすり替わる。あなたの近況を、一度も質問されない。
その関係で疲れているなら、原因はあなたの聞き方ではないかもしれません。
聞くことは、関係を作る入口として、とても力があります。でも、片方だけが聞き続ける関係は、対等な恋愛から遠ざかっていきます。あなたにも、聞いてもらう権利があるはずです。
離れる決断だけが答えではありません。まずは「今日は僕の話も少し聞いてほしい」と伝えてみる。その一言に応えてくれる相手かどうかは、関係を続けるうえで大事な判断材料になると思います。